手軽で清潔な水耕栽培は、初心者でも気軽に始められる園芸方法として人気です。
透明な容器で根の成長を観察できるのも魅力です。
しかし、根腐れは水耕栽培特有のトラブルで、植物の生育を阻害します。
特に始めたばかりの頃は、根腐れの原因や対策が分からず、悩んでしまう方も少なくありません。
「せっかく始めた水耕栽培なのに、すぐに枯らしてしまった…」
という経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、水耕栽培における
を、初心者の方にも分かりやすく解説します。
根腐れのメカニズムを理解し、対策することで、大切な植物を根腐れから守りましょう。
根腐れの主な原因を徹底解説

水耕栽培における根腐れは、いくつかの要因が複合的に作用して発生します。
その主な原因を詳しく解説していきます。
- 酸素不足
- 水の汚れ
- 水温の上昇
- 過剰な水分
- 病原菌の侵入
- 肥料の与えすぎ
- 容器や環境の問題
それぞれの原因をしっかりと理解することで、効果的な対策を講じることが可能になります。
原因①:酸素不足
水中の酸素濃度と根の関係
植物の根は、土壌栽培と同様に、呼吸によって酸素を必要とします。
水耕栽培では、根は水に浸かっている状態ですので、水中に溶け込んでいる酸素を利用して呼吸しています。
しかし、水中に溶け込める酸素の量には限りがあり、水温が高くなるとさらに少なくなります。
水中の酸素が不足すると、根は呼吸ができなくなり、細胞が壊死し、腐敗が始まります。
これが根腐れの最も大きな原因の一つです。
原因②水の汚れ
雑菌の繁殖と水質悪化
水耕栽培では、水が汚れてくると、雑菌やカビなどの微生物が繁殖しやすくなります。
これらの微生物は、根の表面に付着したり、根の組織に侵入したりすることで、根を傷つけ、腐敗を促進します。
また、微生物の活動によって水質が悪化し、酸素不足をさらに悪化させることもあります。
原因③:水温の上昇
高温による酸素溶解度の低下
水温が高くなると、水に溶け込む酸素の量が減少します。
特に夏場など、水温が上昇しやすい時期は、酸素不足による根腐れのリスクが高まります。
また、高温は雑菌の繁殖を促進する要因にもなります。

夏場のベランダでは水温が上昇しやすいです。
原因④:過剰な水分
根が常に水に浸かっている状態
水耕栽培では、根は常に水に浸かっている状態です。
しかし、根全体が常に水に浸かっている状態は、酸素不足を引き起こしやすくなります。
根の一部は空気に触れさせて、呼吸を確保することが重要です。
原因⑤:病原菌の侵入
カビや細菌による感染
水耕栽培の環境には、ピシウム菌やフザリウム菌などの病原菌が存在する可能性があります。
これらの病原菌が根に侵入すると、根腐れを引き起こします。
特に、傷ついた根は病原菌に感染しやすいため、注意が必要です。
原因⑥:肥料の与えすぎ
肥料焼けと水質変化
肥料は植物の成長に必要不可欠です。
しかし、与えすぎると肥料焼けを起こし、根を傷つけてしまうことがあります。
また、肥料の過剰な蓄積は水質を変化させ、根腐れを誘発する原因となります。
原因⑦:容器や環境の問題
不衛生な環境、不適切な容器
使用する容器が汚れていたりしませんか?
水耕栽培を行う環境が不衛生だったりすると、雑菌が繁殖しやすくなり、根腐れのリスクが高まります。
また、容器の素材や形状によっては、水温が上昇しやすかったり、酸素の供給が不十分になったりすることもあります。

容器の底に水が溜まっていると酸素不足になりやすいです。
根腐れのサインを見逃さない!チェックポイント

根腐れは初期段階で発見し、適切な対処を行うことが非常に重要です。
早期に対処することで、植物を救える可能性が高まります。
ここでは、根腐れのサインを見逃さないためのチェックポイントを詳しく解説します。
- 根の色と状態
- 異臭の有無
- 植物全体の様子
- 水の状態
定期的に確認することで、根腐れの早期発見につながります。
早期発見・早期対処が、水耕栽培を成功させるための重要な鍵となります。
チェックポイント①:根の色と状態
健康な根と腐った根の違い
根の状態は、根腐れを判断する上で最も重要なポイントです。
健康な根

通常、白または薄いクリーム色をしています。
しっかりとしたハリがあり、弾力性があります。
腐った根

茶色、黒、または灰色に変色していることが多いです。
触ると柔らかく、ぬるぬるしていたり、ドロドロに溶けていたりします。
異臭(腐敗臭)を放つこともあります。
チェックポイント②:異臭の有無
腐敗臭の確認
根腐れが進行すると、腐敗臭が発生することがあります。
これは、腐った根から発生するガスによるものです。
水耕栽培容器に鼻を近づけて、異臭がしないか確認してみましょう。
ただし、水耕栽培で使用する肥料や水質によっては、特有の臭いがする場合もありますので、注意が必要です。
明らかに腐敗臭がする場合は、根腐れを疑うべきです。
チェックポイント③:植物全体の様子
葉の色、成長の変化
根腐れが進行すると、根が正常に機能しなくなるため、植物全体に影響が現れます。
葉の変色
葉が黄色くなったり、しおれたりすることがあります。
これは、根が水分や養分を十分に吸収できなくなるために起こります。

葉の先が茶色く枯れてきた場合も
成長の停滞
新しい葉が出なくなったり、成長速度が遅くなったりすることがあります。
株全体のぐらつき
根が腐って支えを失うため、株全体がぐらつくことがあります。
チェックポイント④:水の状態
濁り、藻の発生
水の状態も根腐れの兆候を知る手がかりとなります。
水の濁り
水が濁っている場合は、雑菌やカビが繁殖している可能性があります。

たとえば、水が白く濁ってきたなど
藻の発生
藻が大量に発生している場合、水中の栄養バランスが崩れている可能性があります。
また、藻が酸素を消費することで、水中の酸素不足を招くこともあります。
もし根腐れが発生してしまったら?対処法と復活方法

どんなに注意していても、根腐れが発生してしまうことはあります。
大切なのは、早期発見と適切な対処です。
ここでは、根腐れが発生してしまった場合の対処法と、植物を復活させるための方法を段階的に解説していきます。
- 早期発見時の対処
- 重症の場合の対処
- 復活が難しいケース
軽度の根腐れであれば1週間程度で回復しますが、重度の場合は数週間かかります。
早期発見時の対処
腐った部分の除去と消毒
根腐れの初期段階で発見できた場合は、比較的簡単に対応できます。
①:植物を容器から取り出す
丁寧に植物を容器から取り出します。
②:根を水で洗い流す
根についた培地や汚れを優しく洗い流します。
③:腐った部分を切り取る
根をよく観察し、茶色や黒く変色し、柔らかくなっている部分を清潔なハサミやナイフで切り取ります。
この時、健康な白い根まで切ってしまわないように注意しましょう。
④:切り口を消毒する
切り口から雑菌が侵入するのを防ぐため、消毒を行います。
市販の植物用殺菌剤を使用するか、薄めた漂白剤(水1リットルに対して数滴)に数分間浸けて消毒します。
その後、流水でよく洗い流します。
⑤:新しい水と清潔な容器を用意する
容器をよく洗い、新しい水を用意します。
重症の場合の対処
植え替え、環境の見直し
根腐れが進行し、根の大部分が腐ってしまっている場合は、植え替えが必要になることがあります。
①:腐った根を取り除く
上記の「早期発見時の対処」と同様に、腐った根を取り除き、消毒します。
②:新しい培地を用意する
水耕栽培用の新しい培地(スポンジ、ハイドロボール、バーミキュライトなど)を用意します。
③:新しい容器に植え替える
清潔な容器に新しい培地を入れ、植物を植え替えます。
④:環境を見直す
根腐れの原因となった環境要因(水温、酸素不足、水質など)を見直し、改善します。
復活後のケア
適切な管理方法 根腐れの対処後、植物が回復するまでは、以下の点に注意して管理します。
直射日光を避ける
しばらくは直射日光を避け、明るい日陰で管理します。
水やりを控える
根が十分に回復するまでは、水やりを控えめにします。
培地が乾いてから水を与えるようにします。
肥料を与えない
根が弱っている状態では、肥料を与えると負担になるため、回復するまでは与えないようにします。
こまめな観察
毎日植物の状態を観察し、変化があれば適切に対応します。
復活が難しいケース
諦める判断も重要
根腐れが非常に進行し、株全体が弱ってしまっている場合は、残念ながら復活が難しいこともあります。
無理に回復させようとすると、他の植物に病気を蔓延させてしまう可能性もあります。
状態をよく見極め、諦める判断も時には必要です。
水耕栽培を成功させるためのポイント

根腐れを防ぐことは水耕栽培の成功において非常に重要です。
それ以外にもいくつかのポイントを押さえることで、より確実に植物を育て、水耕栽培を楽しむことができます。
ここでは、水耕栽培を成功させるための重要なポイントを解説します。
- 植物選び
- 容器の選び方
- 育成環境
- 観察と記録
- 水質管理
- 季節ごとの注意点
植物選び
根腐れに強い品種の選択
植物の種類によって、水耕栽培に適したものとそうでないものがあります。
初心者の方は、比較的根腐れに強く、水耕栽培に向いている品種から始めるのがおすすめです。
葉物野菜:レタス、ミツバ、ベビーリーフ、ハーブ類(ミント、バジルなど)
その他:クレソン、豆苗など
これらの植物は比較的簡単に育てやすく、水耕栽培の基本を学ぶのに適しています。
慣れてきたら、トマトやイチゴなどの果菜類にも挑戦してみましょう。
容器の選び方
素材、形状、大きさ
容器の素材や形状、大きさも、水耕栽培の成否に影響します。
素材
透明な容器は根の様子を観察しやすいというメリットがありますが、光を通しやすく藻が発生しやすいというデメリットもあります。
不透明な容器は藻の発生を抑える効果がありますが、根の様子が見えにくいです。
どちらを選ぶかは、栽培環境や好みに合わせて選びましょう。
形状
口が広く、底が浅い容器は、酸素が水に溶け込みやすく、根腐れを防ぐ効果があります。
大きさ
育てる植物の大きさに合わせた容器を選びましょう。
小さすぎる容器では根詰まりを起こし、成長を阻害する可能性があります。
育成環境
日当たり、風通し
植物が健康に育つためには、適切な育成環境が不可欠です。
日当たり
多くの植物は日光を必要とします。
日当たりの良い場所に容器を置き、十分な光を確保しましょう。
日照不足の場合は、植物育成用ライトを使用すると効果的です。
風通し
風通しの良い場所に置くことで、過剰な湿気を防ぎ、病気の発生を抑えることができます。
ただし、強風が直接当たる場所は避けましょう。
観察と記録
日々の変化を記録することの重要性
植物の状態を毎日観察し、変化を記録することは、水耕栽培を成功させる上で非常に重要です。
根の状態
色、状態、伸び具合などを観察します。
葉の状態
色、形、成長具合などを観察します。
水の状態
濁り、臭い、水位などを観察します。
水質管理
pHとECの測定
水耕栽培では、水のpH(酸性度)とEC(電気伝導度、肥料濃度の目安)を測定し、適切な範囲に保つことが重要です。
季節ごとの注意点
水耕栽培は季節によって管理方法を変える必要があります。
例えば、夏場は水温の上昇に注意し、冬場は寒さ対策を行う必要があります。
よくある質問(FAQ)

水耕栽培に関するよくある質問とその回答をまとめました。
- Q根腐れしやすい植物はありますか?
- A
植物の種類によって、根腐れへの耐性は異なります。
一般的に、根が太く、多肉質な植物は根腐れしやすい傾向があります。
例えば、多肉植物やサボテンなどは、水耕栽培では根腐れを起こしやすいです。
逆に、葉物野菜やハーブ類は比較的根腐れに強く、水耕栽培に向いています。
- Q水道水を使っても大丈夫ですか?
- A
基本的には水道水を使用しても問題ありません。
ただし、水道水に含まれる塩素が植物に影響を与える可能性があるため、気になる場合は汲み置きして半日程度置いてから使用するか、浄水器を通した水を使用すると良いでしょう。
- Qハイポニカなどの液体肥料は必要ですか?
- A
水耕栽培では、土壌栽培と異なり、植物が根から養分を吸収することができません。
そのため、水に溶かした液体肥料を与える必要があります。
ハイポニカは水耕栽培用の液体肥料として広く知られており、初心者の方でも扱いやすいです。
他にも様々な種類の液体肥料がありますので、育てたい植物に合わせて適切なものを選びましょう。
- Q根腐れと水カビの違いは?
- A
根腐れは、根が酸素不足や雑菌の繁殖などによって腐ってしまう現象です。
根が茶色や黒く変色し、ぬるぬるしていたり、異臭を放ったりするのが特徴です。
一方、水カビは、水中に発生するカビの一種で、根の表面に白い綿のようなものが付着します。
水カビ自体は植物に直接的な害を与えることは少ないですが、根の呼吸を妨げたり、水質を悪化させたりする可能性があります。
- Q水替えはどのくらいの頻度で行えばいいですか?
- A
水替えの頻度は、植物の種類、容器の大きさ、環境などによって異なりますが、一般的には、夏場は2〜3日に1回、冬場は1週間に1回程度が目安です。
水が濁ってきた場合や、藻が発生している場合は、早めに水替えを行いましょう。
- Q日当たりが悪い場所でも水耕栽培できますか?
- A
植物の種類によりますが、日当たりの悪い場所でも水耕栽培は可能です。
ただし、日光を好む植物の場合は、生育が悪くなる可能性があります。
日照不足の場合は、植物育成用ライトを使用することで、光を補うことができます。
- Q虫が発生した場合はどうすればいいですか?
- A
水耕栽培では、土壌栽培に比べて虫が発生しにくいですが、発生する場合もあります。
発見した場合は、手で取り除くか、市販の植物用殺虫剤を使用します。風通しを良くすることで、虫の発生を抑える効果もあります。
まとめ:根腐れを防いで水耕栽培を楽しもう!
この記事では、水耕栽培における根腐れの原因と対策について、初心者の方でも分かりやすく解説してきました。
根腐れは水耕栽培でよくあるトラブルの一つです。
その原因を理解し、適切な対策を講じることで、十分に防ぐことができます。
改めて、根腐れを防ぐための重要なポイントをまとめます。
酸素不足を防ぐ:適切な水やり、こまめな水替え、エアレーションの活用などを心がけ、根に十分な酸素を供給しましょう。
清潔な環境を保つ:容器や培地を清潔に保ち、雑菌の繁殖を抑えましょう。
適切な水温管理:水温が高くなりすぎないように注意し、必要に応じて冷却対策を行いましょう。
日々の観察を怠らない:根や葉の状態を毎日観察し、根腐れの兆候を早期に発見しましょう。
適切な肥料管理:肥料の与えすぎに注意し、適切な濃度で与えましょう。
もし根腐れが発生してしまった場合でも、早期に対処すれば植物を救うことができます。
腐った部分を取り除き、消毒することで、再び健康な状態に戻すことができるでしょう。
水耕栽培は、土を使わずに手軽に植物を育てられる魅力的な方法です。
根腐れのリスクを恐れることなく、正しい知識と対策を身につければ、誰でも簡単に始めることができます。
この記事が、あなたの水耕栽培ライフのお役に立てれば幸いです。
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