水耕栽培の肥料って必要なの?
どんな肥料を選べばいいの?
土を使わない水耕栽培では、植物が生育するために必要な栄養素を、水に溶かした肥料(養液)から得る必要があります。
この記事では、水耕栽培における肥料の重要性、選び方、おすすめ肥料、使い方や注意点までを徹底解説いたします。
初心者の方でも安心して水耕栽培を始められるよう、おすすめの肥料もご紹介。
この記事を読めば、水耕栽培の肥料に関する疑問が解消し、植物の健やかな成長をサポートできます。
なぜ水耕栽培に肥料が必要なのか?
土耕栽培では、植物は土壌から必要な栄養素を吸収します。
しかし、水耕栽培では土壌を使用しないため、水にはほとんど栄養素が含まれていません。
そのため、肥料によって必要な栄養素を水に供給する必要があります。
ただし、スプラウトの栽培は水だけでも育ちます。
水耕栽培用の肥料と土耕栽培の肥料は違う?
水耕栽培用の肥料と、土耕栽培用の肥料では、含まれている成分に大きな違いがあります。
土耕栽培用の肥料:
土耕栽培は、土に含まれる栄養成分で成長するため、土の栄養成分を補うための成分が入っています。
水耕栽培用の肥料:
水耕栽培の場合は、養液の栄養のみで栽培するため、植物の生育に必要な栄養成分がバランスよく入っています。
肥料のパッケージや成分を確認し、水耕栽培用の肥料を使いましょう。
水耕栽培の場合、土耕栽培用の肥料では必要な栄養成分が不足してしまします。
水耕栽培用肥料の栄養素
水耕栽培の肥料には、主に以下の成分が含まれています。
主要な栄養素(三大栄養素):
- 窒素(N):葉や茎の成長を促進し、光合成に不可欠です。
不足すると葉が黄色くなります。 - リン酸(P):根の発達や花・実の結実を助けます。
不足すると成長が鈍くなります。 - カリウム(K):植物全体の健康を維持し、病気への抵抗力を高めます。
不足すると葉の縁が枯れたりします。
二次的な栄養素:
- カルシウム(Ca):細胞壁の構成要素で、植物の構造を強化します。
- マグネシウム(Mg):光合成に必要なクロロフィルの構成要素です。
- 硫黄(S):タンパク質の合成に関与します。
その他にも、 鉄(Fe)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ホウ素(B)など、酵素の活性化など必要不可欠な要素も微量あります。
水耕栽培の肥料には、これらが要素がバランス良く含まれています。
水耕栽培用肥料の選び方
水耕栽培用肥料を選ぶ際は、ポイントは以下です。
- ①肥料成分
- ②肥料のタイプ
- ③コスト
①肥料成分
育てたい植物の種類や、成長段階に合った成分の肥料を選びましょう。
葉物野菜の栽培に重要な成分:
- 窒素:葉や茎の成長に不可欠な成分です。葉物野菜は葉を食用とするため、窒素を多く含む肥料が適しています。
花や実をつける植物の栽培に重要な成分:
- リン酸:花付きや実付きを良くする効果があります。根の発達にも重要な役割を果たします。
- カリウム:実の品質を高め、病気への抵抗力をつける効果があります。
成長段階ごとの肥料の役割:
- 成長初期:根の発達を促進するために、リン酸が重要になります。
- 成長中期:葉や茎の成長を促進するために、窒素が重要になります。
- 開花・結実期:花付きや実付きを良くするために、リン酸とカリウムが重要になります。
肥料の成分表示(N-P-K)の見方:この数字は何を表しているの?
肥料の袋やボトルには、『N-P-K=〇-〇-〇』というように、3つの数字が書かれているのを見たことがあるかもしれません。
これは、肥料に含まれる以下の割合を表しています。
- 窒素(N)
- リン酸(P)
- カリウム(K)
例えば、N-P-K=5-10-5と表示されている肥料は、窒素5%、リン酸10%、カリウム5%の割合で含まれていることを意味します。
パッケージ裏には、成分量の詳しく書いてあります。
②肥料のタイプ
市販されている水耕栽培用の肥料は、大きく分けて以下の2種類があります。
- 液体肥料:
水に溶けやすく、植物が素早く栄養を吸収できるため、水耕栽培で一般的に使われています。 - 粉末肥料:
液体肥料に比べて安価なものが多いですが、水に溶かす手間がかかります。
水耕栽培の肥料は、水で希釈して使うものが一般的です。
また、液体肥料の中でも1液のものと、2液を混合して使う肥料があります。
- 1液タイプ:必要な栄養素が1液に配合されているもの
- 2液混合タイプ:2液を混ぜて使うもの(A液+B液など)
1液タイプの液体肥料は水に希釈するだけで手間がなく、2液混合タイプは豊富な栄養素がバランス良く入っています。
トマトなどの果菜野菜は、2液混合タイプをおすすめします。
有機肥料と無機肥料:水耕栽培に向いているのはどっち?
肥料は原料によって「有機質肥料」と「無機質肥料」の2種類に分けられます。
有機肥料:
- 原料:油かす、骨粉、堆肥などの動植物由来の有機物
- 効果(土壌栽培):微生物の働きで分解され無機養分となり、土壌微生物を活性化
- 水耕栽培での課題:
- 微生物の活動が限られるため分解が不十分
- 分解に時間がかかり即効性に欠ける
- 腐敗しやすく水質悪化の原因となる
無機肥料:
- 原料:窒素、リン酸、カリウムなどの無機化合物を化学的に合成
- 特徴:水に溶けやすく植物に直接吸収されやすいため即効性がある
- 水耕栽培への利点:
- 必要な養分を正確にコントロール可能
- 有機肥料に比べて水質悪化のリスクが低い
水耕栽培に向いているのは、無機肥料です。
もちろん、有機肥料を用いた水耕栽培も不可能ではありませんが、高度な管理が必要となり、初心者には難しいと言えます。
無機肥料は化学肥料とも呼ばれますが、植物にとって吸収される形は有機肥料も無機肥料も同じ無機養分です。
無機肥料は化学的で不安に感じるかもしれませんが、土壌に含まれる栄養素と同じ物質で構成されているため安心です。
③コスト
肥料は、水耕栽培でのランキングコストとなります。
他の商品と比べて高すぎないか確認しましょう。
肥料のコスト計算は、1L当たりに作れる液体肥料の量を計算すると比較しやすいです。
肥料コストの計算式:
価格÷(肥料の内容量×希釈倍率)=1L当たりの肥料コスト
たとえば、以下の肥料の場合
- 価格 1300円
- 容量 500ml
- 希釈倍率 500倍
(例):容量500ml×500倍希釈=250,000ml(250ml)
250L÷1300円=1L当たり5.2円 となります。
おすすめの水耕栽培肥料3選
水耕栽培におすすめの肥料を3つご紹介します。
- おうちのやさい C 1液タイプ
- 協和 ハイポニカ液体肥料
- 微粉ハイポネックス
おうちのやさい C 1液タイプ
手軽に使える肥料です。
始めての水耕栽培におすすめ。
- 肥料のタイプ:液体肥料(1液)
- 内容量:500ml
- 希釈倍率:200倍
- 成分:微量元素までバランス良く1本にまとまっている
- 価格:1360円(税抜)
- コスト:13.6円(希釈後の培養液1L当たりの費用)
メリット:1液タイプで手軽に使える。
デメリット:コストがかかる。
レビューまとめ:
協和 ハイポニカ液体肥料
水耕栽培の肥料といえば、この肥料です。
プロ農家も使う人気商品。
- 肥料のタイプ:液体肥料(2液)
- 内容量:500ml
- 希釈倍率:500倍
- 成分:中量・微量要素を含み合計15種類もの豊富な栄養素が配合されている。(N-P-K=4-3.8-9.4)
- 価格:1500円(税抜)
- コスト:6.0円(希釈後の培養液1L当たりの費用)
メリット:栄養素が豊富。
デメリット:2液タイプで混合に手間がかかる。
レビューまとめ:
微粉ハイポネックス
コスパで選ぶならコレです。
粉末タイプの定番肥料。
- 肥料のタイプ:粉末タイプ
- 内容量:500g
- 希釈倍率:1000倍
- 成分:植物の株を丈夫にするカリ成分を多く含む。(N-P-K=6.5-6-19)
- 価格:1380円(税抜)
- コスト:2.8円(希釈後の培養液1L当たりの費用)
メリット:コスパ良い。
デメリット:粉末タイプで溶かす手間がかかる。
レビューまとめ:
おすすめの肥料を比較
肥料名 | タイプ | コスト(1L) | 特徴 |
おうちのやさい C 1液タイプ | 液体(1液) | 13.6円 | 手間がない 初心者◎ |
協和 ハイポニカ液体肥料 | 液体(2液) | 6.0円 | 定番 栄養素◎ |
微粉ハイポネックス | 粉末 | 2.8円 | コスパ◎ |
水耕栽培の肥料はどこで買える?
水耕栽培用の肥料は、以下で購入できます。
- ホームセンター
- 園芸店
- オンラインストア
ただし、ホームセンターや園芸店などの実店舗では、置いていない場合もあります。
なので、以下のオンラインストアで購入することをオススメします。
100円ショップで水耕栽培の肥料は売っている?
100均(ダイソー、セリア、キャンドゥなど)で水耕栽培用の肥料は販売されていないようです。※令和7年1月17日現在
ダイソーには、数種類の液体肥料が発売されています。
ダイソーネットストア|活力剤・土商品ページ
しかし、これは水耕栽培専用ではないため、水耕栽培への使用は推奨できません。
100円で売ってますが、肥料コストとしては非常に高いです。
水耕栽培用肥料の使い方
一般的な水耕栽培用肥料の使い方の手順は以下です。
- 容器に水を入れる。
- 希釈倍率を確認して、水の入った容器の中に肥料を入れます。
- 混ぜます。
- 植物に与えます。
容器は、空のペットボトルを使用すると便利です。
2Lの肥料水(養液)を作る場合の例
① 2Lの空のペットボトルを用意し、中に水を2L入れる。
② 水の入ったペットボトルの中に肥料を入れ希釈する。
※希釈倍率を確認しましょう。
たとえば、肥料の希釈倍率が500倍の場合は以下になります。
2000ml(水2L)÷500倍(希釈倍率)=4mlまたは4g(原液肥料入れる量)
肥料の希釈倍率が1000倍の場合は、原液肥料入れる量が2mlまたは2gになります。
※2液タイプの場合、A液とB液を原液の状態で混ぜないように注意。
③ ペットボトルを振ってよく混ぜる(溶かす)。
④ 植物に与える
減った分の養液を追加するか、1週間程度を目安に交換しましょう。
水耕栽培用肥料の注意点
水耕栽培の肥料に関する注意点は、以下です。
肥料の保管
肥料の保管時は、直射日光や湿気を避けた日陰や涼しい場所で保管しましょう。
液体肥料の場合は原液で保管し、キャップを閉めておきます。
また、希釈した液肥は、成分の変化が起きやすくなるため、その日のうちに使い切るのがベストです。
原液Aと原液Bを直接まぜない
2液タイプの場合・原液A、原液Bを原液同士で直接混ぜるのはNGです。
原液の状態で混ぜると肥料の成分が結晶化し、植物が栄養素を吸収できなくなってしまいます。
追加する場合の肥料濃度
減った分の肥料水を追加する場合は、ECメーターで養液の肥料濃度を確認しましょう。
栽培環境や季節によっては肥料濃度が高くなり、植物の生育が悪くなります。
通常の管理は、養液が減った分の水を追加し、1週間程度を目安に養液(肥料水)を全量交換する方法が良いと思います。
水耕栽培用肥料に関するQ&A
- Q作った肥料水が余ってしまったのですが、希釈した液肥水の使用期限は?
- A
一般的には、液肥水の作り置きは推奨していないです。
理由は、藻の発生や、肥料成分が変化する可能性があるからです。
どうしても希釈した液肥を取っておきたい場合でも、1週間程度を目安に使い切るのが良いとの情報があります。
注意点:
- 保管時は、直射日光や湿気を避けた日陰や涼しい場所で保管する
- キャップを閉めるなど密閉させる。
- 誤飲に注意する。
- 再度使う前には、よく混ぜる。
- Q水耕栽培用肥料に使用期限はある?
- A
原液の場合、基本的に使用期限はありません。
これは、肥料の成分が安定しているためです。
ただし、保管時は、キャップをしっかり閉め、直射日光や湿気を避けた日陰や涼しい場所で保管しましょう。
適切に保管しないと成分が変化することもあるので注意が必要です。
まとめ
この記事では、水耕栽培における肥料について以下の内容を詳しく解説しました。
水耕栽培では土を使わないため、植物は水に溶けた肥料(養液)から必要な栄養素を吸収します。
そのため、適切な肥料選びと管理が、水耕栽培を成功させるための鍵となります。
以下、この記事の重要なポイントをまとめます。
- 肥料の必要性:土を使わない水耕栽培では、肥料が植物の生育に不可欠です。
- 肥料の選び方:育てたい植物の種類や成長段階に合わせて、必要な栄養素や種類、コスパのバランスを考慮して選びましょう。
- おすすめの肥料:
- 肥料の使い方:希釈倍率を守り、適切な濃度で使用しましょう。2液タイプの肥料は、原液同士を混ぜないように注意が必要です。
- 肥料の注意点:肥料の保管方法、希釈した液肥の使用期限、肥料濃度の管理などに注意し、植物の健康状態を常に観察しましょう。
この記事で紹介した情報を参考に、ご自身の水耕栽培に最適な肥料を選び、植物の成長をサポートしましょう。
適切な肥料管理を行うことで、水耕栽培の楽しさと収穫の喜びをより一層深く味わえるはずです。
水耕栽培を通して、豊かなグリーンライフをお楽しみください。
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